2017/03/19
新潟駅から徒歩5分 「入れ歯専門外来」を持つりんご歯科医院から発信。
僕の父は埼玉県の田舎町で開業医をしていました。医院と家が一体化しており、1階が医院で2階が住居というものです。35~40年前ごろは歯科医院の数も少なく、虫歯の洪水と言われる時代でした。僕がまだ小学生だったころは夏休みになると、朝9時から開院するのですが、7時くらいになるともう患者さんが列になって並んでおり、その患者さんたちの話声で起きていましたよ。1日の患者数もドクター1人とスタッフ6人ぐらいで、120~130人を診て、5台の治療用のユニットは昼休みもなく、常にフル稼働していました。一人に対する治療時間は2~3分でした。予約制なんてことはなく、来た患者さんを診るという形です。治療がやけに早いなと思っていましたが、他の歯科医院もそんな感じでしたね。(そうでないと診きれないですものね。。。)この状態が1日中続き、夜7時の終了時間には父は疲労困憊で話もしてくれませんでしたね。口癖は「患者さんが来すぎて、死ぬ~。。。」と、よく言ってました。でも、この状態が父にとって幸せだったのか不幸だったのかは、父に聞いてもよく解りません。というのは、多分、やりたいことがやれなかったと思う所もあれば、僕ら兄弟にこんなに患者さんに来てもらえたという自慢話もしてますから。。。どっちなんでしょうかね?
僕が思うに歯科医師の幸せって、患者数ではないけど、患者数が少ないよりは多い方が良いに決まってます。でも、やりたいことを犠牲にしてまで働くのも幸せって思えないです。。。やっぱり適正な人数というのはあって、それをこなしつつも趣味ややりたいことをやる生活がいいのでしょうね。でも、このサジ加減は本当に難しいです。人員もユニットも限られますし、患者さんのニーズに応えられなければ、来院数は減少しますからね。
幸いに僕は歯科診療の一部である入れ歯診療が大好きで、趣味と言ってもよいと思います。入れ歯を徹底的にやる時間がほしいため土曜日午後だけですが、入れ歯専門外来を昨年から立ち上げました。その時間は基本的に入れ歯の患者さんしか診ないようにしています。でも、急患はやってきますので、そのような患者さんは、信頼のおける代診の先生とスタッフに診てもらっていますよ。
趣味と仕事が一緒なら、きっと楽しい人生が送れますね。多少、他の趣味もやりたいですが。。。患者数は父に勝てることは恐らくないでしょうけど、良い入れ歯を入れた数は絶対に勝っていきたいです。そして、僕があの世に行ったときに、父が僕らに患者数で自慢していたように、「こういう難しい症例に、こういう良い入れ歯を入れて感謝されたぞ。」と大好きなお酒を飲みながら言ってみたいです(^-^)。