2017/07/11
新潟駅から徒歩5分 「入れ歯専門外来」を持つりんご歯科医院から発信。
先日、初めて当院に来られた患者さんで上顎に部分入れ歯が装着されていましたが、バネのかかっている歯が重度歯周病のために脱落してしまったようです。その部位に増歯といって、入れ歯に人工歯を足す作業をしました。しかしながら、他の残存歯も2本ほどあり、かなりの歯周病のために動揺が大きくありました。レントゲン診査をしても骨の支えは全くなく、抜歯の適応と思われます。その旨をお話しさせてもらい、抜歯して総入れ歯にした方が良いのではないかと提案させていただいてます。でも、この患者さんは「総入れ歯になったら、どうやって維持を図るのか?」と心配なようで、僕に聞いてこられました。
確かに患者さんにしてみたら、粘膜に乗っかっている上顎の入れ歯が落ちないようにするのは不思議ですよね。もちろん健康な歯があって、その歯にバネを掛けて維持を図れるならそうすることに越したことはないのですが、この方のように条件が悪い歯にバネを掛けて維持を図るのは、反って悪い結果を生みます。グラグラしている歯にバネを掛けても意味はないですし、その歯に過剰な力が加わり、痛みを起こす原因にもなりかねません。で、あるならば総入れ歯で維持安定を図ることを目指した方が、外れにくく安定感のあるものになりますね。
総入れ歯の維持安定は、入れ歯が粘膜に「吸着」していることが重要です。この吸着は、粘膜と義歯床内面との間に、「陰圧」を起こすことが大切です。この陰圧というのは、解りやすく言うと、ヤクルトを咥えて息を吸うと吸盤のように唇や舌に吸い付きますよね。この事を言います。そのためには入れ歯の床辺縁部をしっかり封鎖していくことが大切です。また、唾液の質や量、残存顎堤の高さや幅なども吸着を得るために重要な因子として絡んでいきます。
この吸着を口を開けた時、物を食べているときなどの機能時にも発揮させるようにすることができれば、そう簡単には落ちない入れ歯になるのですね。。。
ただ、これを獲得するのは簡単な事ではありません。でも、プラプラの歯を残して、部分入れ歯を作るよりも良いものができると僕は思います。
(写真は、本文の内容とは関係がございません。)