2017/11/06
新潟駅から徒歩5分 「入れ歯専門外来」を持つりんご歯科医院から発信。
大学病院に勤めていた頃、ある歯科医院に毎週土曜日にアルバイトに行ってました。
そこの歯科医院では年配の大先生が居て、息子さんの若先生もいました。
主に入れ歯治療は大先生が診ていて、地域の方に親しまれている先生でした。
患者さんは大先生のファンが多く集まって来て、大先生は入れ歯の修理や型取りや咬み合わせ取りをしていました。
僕も、当時は歯科大学の大学院を卒業しており、それなりの知識も持っていたつもりでしたが、僕の作る入れ歯よりも大先生の作る入れ歯の方が患者さんの受けは良かったです。
その時に何で、大先生の方が良いと言われるのだろう?自分の方が学術的にもいいはずなのに。。。と思っていました。
それこそ、鼻が高くなってきていて、自分の事を過大評価していたのですね。。。
ある時、その大先生に生意気ながらも、「何で先生の作った入れ歯の方が良いと言われるのでしょう?」と聞いたことがあります。
大先生は、「さあ、何でだろうな?よくわからないけど、お前のやり方は学術通りかもしれないけど、それ一辺倒じゃなぁ。。。」と当時の僕には、それ以外頼るものもないので、「それ以外に何かあるんでしょうか?」とまた、聞いたところ、「魂が入ってないんじゃなのか?」と言われてしまいました。。。
当時の僕には、その意味が全く持って解っておらず、「魂?そんなこと言っていたら、入れ歯作りは学問じゃなくなるよね。。。訳わからん。。。」と思っていました。
でも、そういえば学問通りにやって、全てが上手くいくものではないとそれから数年して理解できるようになりましたよ。
人それぞれ、咀嚼パターンやよく食べるものは違いますよね。
その人の背景をよく観察しないと、その人に合ったものはできませんものね。。。
それからというもの、ただ一生懸命に患者さんとコミュニケーションを取り、患者さんの背景をよく見るように心がけるようにしました。
そうすると、僕のファンも増え、患者さんからいい入れ歯だという評価も多くなってきました。
魂を込めるのは、その人の背景をよく知り、その人に取ってかけがえのないものになれるように持てる力を発揮することなのではないかと、今では理解しています。
僕達、入れ歯を作る歯科医師側はいろいろな制約を受けます。
その人の歯の欠損様式、ライフスタイル、食生活、嗜好品、そして保険診療内でできること、自由診療にしてもどのようなものにするか等、一つの入れ歯を作るにしても様々な事を気にしていかなければなりません。
その作業をして学術的に持てる力を発揮していけば、自ずと入れ歯に魂は入るのだと思います。
その入れ歯に「魂は込められているか?」を常に考えてやっていきたいと思います。