2019/08/28
新潟駅から徒歩5分 「入れ歯専門外来」を持つりんご歯科医院から発信。
先日、入れ歯を作ってほしいという依頼で、当院に来られた患者さんがいました。
口腔内を見てみると上顎は欠損している歯が多く、残存歯もかなり動揺があります。
特に上顎前歯部は今にも抜けそうな程、プラプラの状態でした。
即時入れ歯と言って、抜歯と同時に入れ歯をセットする方法がありますが、これはあくまで、抜くべき歯を残した状態で型を取り、模型を起こしてその模型上で抜くべき歯を削り、入れ歯を作っておいて、次回の来院時に歯を抜いて入れ歯をセットするという方法です。
そのため、型取りの時に歯が抜けてしまうと、歯がない状態がしばらく続いてしまうのですね。。。
その患者さんは、まさしくそのような状態で、型を取ったら絶対に前歯が抜けるなと思われるほど酷い状態でした。
その旨を患者さんに話したところ、「今、抜けるのはちょっと困る。。。明後日に人に会う予定があるから。」と言われました。
僕は抜歯を一瞬ためらいましたが、そのままにしていくのもどうかと思いました。
なぜなら、その歯が重度歯周病により、動くことで口唇を傷つけ唇は切れていました。
また、相当歯が浮いて飛び出してしまっており、咬もうとすると、前歯が先に当たってしまい、奥歯で咬合することができないのです。
そのため、その旨を話し、技工士にも無理を言って今日、明日中にそこの部位の仮入れ歯を大至急作ることにしました。
技工所も今は、凄く混んでいるそうですが何とか我が儘を聞いていただけました。
この患者さんは他にも抜くべき歯があるのですが、まずは、審美性の回復を望んでいるので、それを何とかしてあげて、その後、臼歯部の抜歯をして、即時入れ歯の製作を施し、最終的にはノンクラスプ入れ歯を希望しております。
でも、歯周病の状況から考えると、近いうちに全ての歯が抜けてしまうのではないかという危険性があります。
できるだけ、そうならないように僕らは最大限の努力をしていきたいと思います。
今、まず大切なのは残せる歯は残す努力をしましょうと伝えて行きたいです。
この方も、こうなる前に歯科医院で定期健診を受け、歯の正しい磨き方を実践し、プロフェッショナルクリーニングを定期的に受けていれば、恐らくこういう状態にはならなかったはずです。
でも、そうなってから歯科医院にかかる方が本当に多いと思います。
恐らく僕は、毎月2~3症例はこの即時入れ歯の症例をやっているような気がいたします。
入れ歯製作は大好きなので、入れ歯を作ることには喜びを感じますが、この即時入れ歯に関しては話が別です。
この即時入れ歯は、あくまで模型上で傷の治りを予想して作るので僕としては仮入れ歯だと思っています。
良いものにはなりにくいのですね。
これを作っても、何らかの不具合が出てきやすいのです。
でも、入れ歯が無いと審美的な問題や発音の問題、咀嚼の問題が出ますので、これしかないなと思いながらやっています。
新しい本入れ歯を作るにも、保険診療の場合は、半年は作りだしができないというルールにもしばられますからね(自由診療であれば話は別ですが。。。)。
是非、その旨はご理解いただきたいです。