2016/02/20
上顎のほとんどの歯が欠損していて、下顎のほとんどの歯が残存しているケースを結構な頻度で見かけます。恐らく重度の歯周炎に加えて強い咬合力のため、咬合するたびに上顎の歯が下顎の歯に突き上げられて歯周病が悪化したため、歯が抜けてしまったのか、抜かなければならなくなったのではないかと予想します。
このような場合、上顎のみに義歯を製作することになるかと思いますが、非常に問題が起きやすいです。というのは、上顎の場合、骨吸収は唇頬側の歯茎から起こります。そうなると、下顎の残存歯列に対して狭くて小さい歯列になるのですね。そのような状態で入れ歯の人工歯を正常排列すると入れ歯の中央部に応力がかかり、真ん中で割れることが頻繁に起きやすいです。保険診療で行える入れ歯の場合、口蓋部分を覆うのはプラスチックのため、防止するために補強線というワイヤーを埋め込みますが、効果はあまり期待できません。
このような場合は、金属床義歯で解決するべきではないかと思います。でも、コバルトクロムのような重い金属は貧弱な顎堤に不向きなため、チタンを使用した方が軽くて丈夫で良いものができると思いますよ。チタンが壊れることは常識的な応力では考えられませんし、軽いため貧弱な顎堤にも応用が可能と思います。自由診療ですが、入れ歯が真ん中部分で頻繁に割れてくるなら、ご一考していただきたいと思います。
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