2016/11/12
当院では、一度も当院に罹ったことのない患者さんは初診時にTC(トリートメントコーディネータ)が問診を取り、歯科衛生士が歯周病検査とブラッシング指導を行います。そして僕の方で必要があればレントゲン診査を行い、そして説明と応急処置を行うことが多いです。それが当院の、進め方であります。
歯科衛生士が行うこのブラッシング指導を、本当にわずかですが全く聞こうとしない患者さんがいます。先日、そのような方が来院しましたが、歯科衛生士が歯周病検査の結果に基づき、ブラッシング指導をしようとしたところ「そんなのいいから、さっさと治療をしてくれ。」と言いました。その方は痛みもないことは確認済みでしたので、応急処置をする必要はないと判断しているため、当院の衛生士は「でも、これをしっかりやらないと、また虫歯になったり、現在の歯周病も治らないです。ですから、ご指導をさせてください。」と言い、何とかブラッシング指導を始めたところ、その患者さんは全く聞く耳を持たず、結局、衛生士の言うことを遮って終わらせてしまいました。その後、僕の方でも「しっかり聞いていただき、実践してもらわないと治るものも治らないですよ。当院では、予防を重視していますし、このブラッシングが歯周病の治療そのものにもなるのですから。」とお話しさせていただきました。
僕の尊敬する歯科医師の先生は「予防ができていない歯を治療しても意味がない。」と仰っていました。まさしくその通りであります。まして、このブラッシングそのものが、歯や歯周組織を清掃し、歯の再石灰化を促したり、歯周組織へのマッサージ作用で良い効果を促します。実際に臨床の現場で、もうこの歯は重度の歯周炎のため近い将来、抜かなくてはならないなと思っていた歯が、適切なブラッシングをしっかり行ったことによって、抜歯にならなくても良いことになったことも少なからず見てきています。
ここで、皆様に伝えたいことは歯科領域において一番大切なのはブラッシングです。これを適切に行うことによって、虫歯や歯周病の歯科治療はスムーズに進みますし再発防止や予防につながります。従って、歯科衛生士の言うブラッシング指導を聞けるチャンスがあることは患者さんにとって最大のメリットであるのです。是非、そのチャンスを無駄にせずに皆様の日々のお口の健康増進につなげられたら、歯科医療を行うものとしてこの上ない喜びです。