2018/12/22
新潟駅から徒歩5分 「入れ歯専門外来」を持つりんご歯科医院から発信。
今日は、いつもの臨床とは違う話となりますが、ご了承ください。
先日、出席した大学講座の忘年会で、ある教授の挨拶で「守(習)・破・離」(しゅ・は・り)の話を聞きました。
この言葉は、物事を習得するには最初は規範、決まり事を守り、ひたすら正確・忠実に習得を積み重ね(守)たら、それまで身に着けたものを洗練させ、自分なりの個性を作り出すことに挑戦する(破)。そしてこれまでの知識や経験にとらわれずに、独自の境地を切り開く(離)。。。ということを説いているそうです。。
いい言葉だな~と思い、家に帰って、この「守・破・離」をグーグルで検索し、よくよくこの言葉を調べてみると、これは、織田信長、豊臣秀吉に仕えていた千利休が作った茶道の心得や作法に関わること100カ条を和歌形式で表した「利休百首」から出てきたものだそうです。
この言葉を聞いたときに、今まで僕自身が経験した出来事とリンクする部分があったため、すんなり受け入れることができました。
思い起こせば、自分もそのような経験があって、大学病院の総入れ歯の講座に籍を置かせてもらい、当時の講座教授から入れ歯のイロハを徹底的に教えていただき、そしてステップアップして応用し、ある程度できるようになったところで、その講座を離れ、遠回りしながらも自立して開業しました。
考えてみると、僕はこの「守・破・離」を実践してきたのだなと思えて、この言葉が気に入りました。
でも、よくよく調べてみると、ちょっと違うのかな?もしくは、言葉が足りないのではないか?という気分になりました。
それは、ある新聞記者のコラムにそのことが詳しく書かれており、それを読むと、この百首はそれまでの饗宴的な遊興性を千利休が憂い、それを排し、より精神性を重んじたもので、第一、第二首では心構え的なことが書かれているそうです。
それ以外のものは、極めて実践的で、現在でいう業務マニュアル的なことが事細かく書かれているそうです。
この百首の九十九首目までは、まさに先述した「守・破・離」を推奨することが書いてあるようです。
でも、最後の一首は、どうやら趣が違うことが書いてあったそうです。
利休があえて最後の百首目の締めくくりに掲げることで伝えたかったのは、末尾に書かれている「本(ほん)を忘れるな」という戒めであったのではなかろうかということでした。
「本(ほん)を忘れるな」、つまり「守」で習った、基本を忘れるなということです。
それを、利休は最後に持っていくことで、戒めとしたようだということです。
最近は、基本に帰るということが軽く見られている世の中で、あらゆる場面でそう感じることが多いようです。
確かに、世の中の動きとしてはそういう所があるかもしれませんね。。。
話は変わってしまいますが、実は当院のあるスタッフが先日、卒業しました。
その人は、非常に人当りもよく勤勉で真面目な人でした。
患者さんからも人気があり、皆から愛されていましたね。
でも、真面目なゆえに体調を崩してしまったのですね。。。
僕自身も、その人に全幅の信頼を置いていましたし、その人の存在がない今、寂しい気持ちに駆られています。
でも、その人はある意味、当院で「守・破・離」を実践しての卒業なのだと信じています。
僕が、あえてその人に贈りたい言葉は、「守・破・離・本」です。
もし、これからの新しい生活の中で嫌なことや挫折しそうなことがあったときは、ここで習った心構えや基本を思い出して頑張っていただきたいです。
その人の、本来の持ち味である明るさや、頑張りや向上心をまた取り戻して、元気な姿を見たいと心待ちにしている自分がいますからね。。。
それは僕だけでなく、他のスタッフも同じ気持ちでいます。
そしていつかまた、もしこの医院に歯科衛生士として帰ってくることがあれば、、、願わくは、いつの日か復職してくれる日が来るならば、その時は僕らも成長した姿を見せて、その人を笑顔で「お帰りなさい!また、頑張ろう!」と言って迎えてあげたいと思います。
それまでに、僕は医院の改めるべきところは改めて、良いところはドンドン伸ばして成長していきたいです。
僕自身やりんご歯科医院のファミリーとしての在り方としても、この利休が本当に伝えたかった言葉「守・破・離・本」を基本とすることを誓います。
何時でも彼女が、この医院に帰ってきても大丈夫なように、これから僕たちは準備して行きたいと思います。。。
※本日の診療は午後1時までとなります。何卒ご了承願います。