2019/01/22
新潟駅から徒歩5分 「入れ歯専門外来」を持つりんご歯科医院から発信。
今日は日常の臨床とは違う内容ですが、お許しください。
当院は開業して、8年目になります。
その間に、雇ったスタッフは9人いますが、その内2人は当院を離職してしまいました。
その2人は歯科衛生短大の同級生同士で、卒業と同時に当院に勤務し、1人は昨年の3月いっぱいで辞職し東京に行きました。
彼女は東京のある歯科医院で、歯科衛生士として働いています。
もう1人は、先月の20日で退職しました。
当院に来て3年と3年9か月ですかね、短い期間でしたが、2人とも性格も人当りも良く、いい衛生士になると期待していましたが本当に残念な気持ちでいっぱいです。
特に先月、退職した人はその資質は十分あると思っています。
明るさも、人間性も素晴らしいものを持っていました。
当院としても大切な存在でありましたが、体調が悪くなってしまったこともあり、それ以上は何も言えませんでした。
歯科医院は、基本的に女性の職場です。
男は歯科医師である、僕のみです(月・土はアルバイトの男性の先生が来てくれてますが。。。)
常に女性スタッフが医院の受付や診療介助、歯科衛生業務、掃除、洗濯、消毒などもしてくれるわけです。
僕は、診療のみに没頭していればいいのです。
元々、入れ歯やマウスピースに力を入れていたので、患者さんに対してこうしてあげたいという治療目標や医院の将来を考えた夢があります。
そして、それに対して患者さんが喜んでくれることで、僕のモチベーションは上がります。
それがいわば、僕のやり甲斐になっているのですが彼女達のやり甲斐や生き甲斐みたいなものは恐らく違うのですね。
というのも、歯科衛生士達はあくまで歯科衛生業務が本来メインの仕事なのです。
歯を削ったり、歯を抜いたり、歯内治療することや入れ歯製作することは法的にもできないのです。
いわば口腔衛生指導といわれるブラッシング指導や、それを患者さんの意識に定着させ、モチベーションを高めること、そして歯石除去や歯のクリーニングが主な仕事になるのですが、それを教える術を僕は基本的にあまり持っていないのかもしれませんね。
特に補綴を一生懸命にやっている先生は、そのような傾向が強いようです(僕の先輩も同じようなことを言ってました。)。
もともと、僕は補綴(入れ歯やブリッジ、クラウン)を一生懸命にやってきて、歯の衛生指導に興味を覚えたのは、実は最近のことなのですね。
歯を抜くことになったら、入れ歯で何とかしてやるという気持ちをどこかに持っていたのかもしれませんね。。。
本当は神様が与えてくれた、自分の歯が一番いいのに。。。
本当に大変おこがましいですよね。。。
でも、大学病院で補綴科という所で、診療をしていた際はそれこそ、補綴しかやらない状態なのです。
歯を抜かないで済みそうな人は保存科、歯を抜いたほうがいい人は口腔外科、歯周病で悩まれる方は歯周治療科、レントゲン診査が必要な方は放射線科という感じで初診室から振り分けられてくるので、補綴科に来る人は、もうすでに歯が欠損しており、ブリッジや入れ歯を入れてほしいという方なので、特に口腔内がそれほどきれいでなくても、良い入れ歯を入れていこうとするだけでした。
でも、大学を離れて開業医で勤務医をしていた際に、入れ歯診療をやるだけということはなく、保存治療の一つである歯内治療やコンポジットレジンの充填、口腔外科でやる抜歯、歯周治療で行うスケーリングなどを学びました。
でも、その時もあまり、予防という概念はほとんど持ち合わせてなく、虫歯や歯周病の人に対して「ご飯食べたら、ちゃんと磨いてね。」というだけで終わっていましたね。。。
開業してからも、入れ歯をやれることがただ嬉しくて、予防ということには開業してから3年ほどは特別意識してなかったかもしれません。
でも、数年してから部分入れ歯のバネが掛かっていたところに歯周病の進行や、虫歯ができていたりして抜歯になり、入れ歯を再製作しなければならないことが多くなってきました。
これは、入れ歯の良し悪しよりも、日常の口腔衛生状態が悪くてなったためにできてしまうのですね。
そうして、歯を抜くとまた、入れ歯を再製作。
そしてまた、数か月ほど経つと他の歯を抜歯して、また、再製作という悪循環が出てきたのです。
自分の作った入れ歯を、また短い期間で作り直すというのはあまりにも面白くないものです。
これは普通の歯科医師であれば、誰もが思うことであります。
せっかく、患者さんが入れ歯を喜んでくれて良かったと思っていたのに、それから数か月で再製作ということも、しょっちゅうありました。
そのため、僕はここで初めて予防に力を入れようということで、当時2人のベテラン歯科衛生士の他に新人歯科衛生士の2人を雇ってきたのです。
その2人が辞めたというのは、恐らく僕に責任があるのでしょうね。。。
つまり、彼女たちにその口腔衛生指導を任せっきりで、僕が彼女たちに新しい技術や考え方を教えることができなかった。
一応、僕なりにも努力して外部講師を招いて、当院で講義や実習をしてもらったりもしましたが、新しい知識は日進月歩です。
常にアンテナを張り巡らせて、新しい知識を導入し、彼女たちにアドバイスできるようにならなければいけないと思います。
今現在、開院してすぐに来てくれたベテラン歯科衛生士の他に、卒後2年目と卒後1年目の歯科衛生士がいます。
そして新たに2月から、卒後2年目の歯科衛生士の友達で同じく、歯科衛生士2年目の歯科衛生士がこのりんご歯科ファミリーとして来てくれます。
今いる衛生士達は本当に真面目で、自分からの講習会参加を希望してくるような人たちです。
その人達の生き甲斐、やり甲斐を高め、人間としても歯科衛生士としても成長しているんだという実感を持たせられるように努力していきますよ。
そのために、僕自身が予防に関してもっと勉強し、どうしても自分でできないことは外部講師の力を積極的に借り、症例検討会の再開や他院の見学もしていく予定です。
今まで、彼女達に居心地の良さを提供することだけに焦点を当てすぎていたかもしれません。
給料面や労働時間、労働内容、福利厚生などの細かい問題などもあるでしょう。
でも、他院と比べても当院はそんなに条件は悪くないものと思います。
良いスタッフがいるところに、良い患者さんは集まると、僕の師匠は言ってました。
当院に今、いる歯科衛生士、歯科助手、そして新たにやってくる歯科衛生士が本当に生き甲斐を見つけてくれるように最大限努力したいです。
モチベーションの温度差は一人一人ありますし、スタッフ全員の気持ちを100%理解することは、困難極まりないですが、やってみます。