2019/03/04
新潟駅から徒歩5分 「入れ歯専門外来」を持つりんご歯科医院から発信。
僕には尊敬する人が数人います。
その方たちは、もうすでに成功者と言われている人で、多くの人の憧れの存在でもあります。
その中でも、特に尊敬してやまない人がいます。
今日は、その人の話をいたしますね。
僕は、大学卒業後、歯科医師免許を取得して歯科補綴学の大学院生となりました。
歯科補綴学とは、言わば入れ歯(義歯)を研究する講座ですね。
その講座に在籍するということは、学位論文を4年間で仕上げて、審査を受けて合格すれば歯学博士の博士号が取得できるというわけです。
この博士号を何とか4年間で取得することを目指して、当時の僕は日々、本を読み、教授について診療をさせていただきました。
その際に、当時は歯科インプラントを入れ歯に併用させるような実験や、臨床が出始めている時代だったと思います。
また、そのインプラント体を支えるために骨量を増やす実験も盛んにおこなわれており、僕も骨再生誘導法(GBR法)の研究を、助教授の指示で行うことになりました。
この骨再生誘導法はメンブレン(人工の誘導膜)を用いてインプラント体周囲に骨が欲しい所に空隙を作り、線維芽細胞などの侵入を防ぎ、骨芽細胞の活性化を促し骨を作るというものです。
この原理は、もうすでにこの時に知られていましたが、そのできた骨は正常な骨なのか?
また、どのような過程を経て骨ができてくるのかはあまり知られていなかったのですね。
また使用するメンブレンによっても、でき方が違うのではないかという疑問がありました。
それを僕は実験の主として、学位論文を作ろうと考えたわけです。
しかしながら、この実験をやるためには、必然的に生体で調べなければならず、動物実験で行うことになります。
実験動物はSDラットで生後8週のラットです。
人工的に下顎骨に5ミリの穴をあけ、その穴を取り囲むように、メンブレンを巻き術後5日、10日、15日、20日、30日とラットの顎骨を取り出し組織片を作り、顕微鏡で骨のでき方を見ていく方法を取ることになりました。
しかしながら、僕の在籍していた講座では動物実験を行ったことはなく、どのように進めていいのか全く分からない状態でした。
講座の先輩先生、そして最初にこれを言い出した助教授の先生は、全く関与せず、「どうしたらいいでしょうか?」と聞く僕に対して「知らねえよ。勝手にやれよ。」と冷たくあしらわれる状態でした。
ほとほと困り果てた僕は、他講座の動物実験をやっている先生を伺い、協力を仰ぎましたが臨床講座の先生は、その講座の方針なのか、他講座の僕を全く相手にはしてくれませんでした。
本当にこの時は、絶望感を味わいました。
実験をやるための場所もなければ、道具もない、教えてくれる人もいない、協力をしてくれる人もいない。。。
そんな状態で、僕は大学院を卒業することはできないのではないかと、真剣に思いました。
この時は、もうすでに大学院2年生の中盤を過ぎておりましたので、新しく他の実験をやることも非常にリスキーでした(大学院生の研究は、新知見を出さなければならないので時間がかかるものなのです。)。
困り果てた僕は、校内を歩いていたら基礎講座の知り合いの先輩先生に、声をかけられました。
「お~、澤口。元気ないじゃねえか?どうしたんだよ?」と元気な声で言ってきました。
その先生は、同じ歯科大出身の大先輩の先生です。
ちょうど僕が大学6年生の時に、他校の講師をしていたのですが、当校の解剖学講座の助教授として赴任してきたのです。
当時、僕は、この先生のことを妙に元気で、体も大きくて怖いなと思っていました。。。
※次回のブログに続きます