2021/05/16
新潟駅から徒歩5分 「入れ歯専門外来」を持つりんご歯科医院から発信。
今日は日曜日で、当院はお休みです。
いつもの診療とは違う話になりますがご容赦ください。
当院は開院してから、10年目となります。
そして今の場所に医院を移転・拡張して今年の8月で丸一年となります。
元々、ここの近くの古びたビルで開業していましたが、当時ユニット4台で12人のスタッフを雇っていました。
そのビルでの医院は26坪弱のスペースで、デンタルユニットが4台ありましたが、この人数ではかなりきつく感じ、昼休みに食事を取るスペースもなかなか困難な状況でありました。
その時から、医院の移転を考え始めていました。
僕は、以前からあの古びたビルでの開院に全然満足いかなかったです。
でも、今から10年ほど前の僕は資金もそれほどないため他に開業する手段を持ちえず、そのビルに入っていた廃業した歯科医院の居抜きテナントに入りました。
僅かな資金はその際の権利を買うのに使いました。
銀行での借り入れは通常の開業資金程はかかりませんでしたが、それでも何千万円の借り入れをしました。
当初は、なけなしのお金をはたいて買った新しいデンタルユニットと、前の先生が使っていたデンタルユニットを使って診療していました。
前の先生が置いて言ったデンタルユニットは、本当にボロボロで、もうすでに時代遅れで故障もしていて自動で水が出るようなことはなかったのです。
そんな状況下ですから、当初は患者さんも全く来なくて一日に2人だけという日もありましたよ。
そんな状況が、3ヶ月ぐらい続きましたかね。。。
一日の患者数が10人を超えたのは半年以上も経ってからでしたよ。
あまりにも窓口収入がなくて、それでもテナント料などの経費は相当掛かるので、宅配業などの夜間のアルバイトもしていました。
歯科医院を開業していて他業種のアルバイトをしている歯科医師は後にも先にも僕ぐらいじゃないでしょうかね。。。
それでも、この医院を守るためにはそうすることが最善の策だと当初は思っていました。
体力的にしんどくて、ある日、ふと俺このままじゃ、何がしたくて開業したのか解らないな。。。と考えるようになり、一念発起して宣伝することにしました。それこそ自分が今まで力を入れてきた入れ歯診療やマウスピース診療に焦点を当てて、看板や雑誌広告、医院カードを飲食店においてもらったり、バスのコールをしてもらうようにしたり、それこそいろいろと。。。
効果のあったもの、ないものもあり、選別していきましたが。
このブログもそうです。
想いを載せて、ほぼ毎日書いていますよ。
それこそ、日曜祝日も関係なく。。。
それからというもの患者さんも徐々に増え、旧りんご歯科医院も古いデンタルユニットを破棄し、1台ずつ時間をおいて増やしていき4台にすることができました。
その努力が実ったからなのか、現在は新しい医院でデンタルユニットも6台で行うようになりました。
銀行からもさらに大きな借り入れをし、経費は相当掛かりましたが最新設備を多く導入しました。
ある意味、開業初期には考えられないほどの規模で自分が理想としていた歯科医院に近づいたとは思います。
でも、僕は現状維持という言葉が嫌いです。
何故かというと、現状維持を図ってそのまま現状維持でいられた人を見たことはないからです。
だから、移転してからももっともっと上の医院を作ることを考えていましたし、そうありたいと思ってはいます。
しかしながら、最近になって、この考え方が本当に良いのか疑問に思い始めました。
患者数も相当増え、そしてこのコロナ禍も影響しスタッフの仕事は大幅に増えました。
恐らく、このまま行ったらスタッフは疲弊してしまいますよね。
仕事だけの人生で自分はそれでも満足かもしれませんが、スタッフは違いますよね。。。
経営者と従業員との仕事に向ける温度差は絶対にあります。
現代の歯科医療は歯科医師だけでは何もできず、チームとして動くことが不可欠です。
ということは、もう僕だけが突っ走るわけにもいかないものなのですね。
僕はスタッフをファミリーと思う意識は今も昔も変わっていないです。
皆にここで働けて良かったという気持ちを、持っていただけたらと思っています。
本当にみんなのことが、人として大好きで仕方ないですよ。
スタッフの皆にしてみたら気持ち悪いでしょうけど、本当にそう思うのですね。。。
スタッフ達の屈託のない笑顔が見れる今を、全く悪いとは思えないです。
皆さんは「足るを知る」という言葉を知っていますか?
僕はこの言葉が大嫌いでした。
何となく「現状維持で良い」というふうに聞こえていたからです。
でも、調べてみるとそんなことではないのですね。
ある意味、もう得ている幸せがある現状は知っておくべきですよね。
本当に今の僕は幸せです。
ゴールに到達したなら、それが地について自分の身の丈に合っているかの再確認は必要だと思いました。
足るを知って、さらに違った意味での成長を求めるそれは物質的なものではなく、人としての成長だったり、スタッフとの繋がりの強化だったり、やり方であったり。。。
そう言った意味での「足るを知る」を実践し、現状維持を良しとしないように生きていけたならいいなと思います。