りんご歯科医院ブログ

院長ブログ

新潟市の歯医者・歯科・入れ歯・スポーツマウスガードなら「りんご歯科医院」

入れ歯の自由診療について



保険の入れ歯は、どうしても材質的な制約があって金属を使うのにも限界があります。金属を使えないことで生じるデメリットは正直あります。
例えば上顎が総入れ歯で下顎がほぼ自分の歯が残存している方というのは、割と多くいます。上顎の歯槽骨は歯を失うとどうしても吸収してきます。しかも上顎は頬側の骨から吸収が始まります。そうなると、下顎はほぼ残存していて骨の吸収がないのに、上顎はかなりアーチが小さい歯茎に歯が並ぶため下顎の残存歯に合わせて歯を咬合させると入れ歯の正中部に応力がかかり、真ん中で割れるケースを何度も見ております。保険の総入れ歯だと補強線で何とかしようと試みますが、所詮はワイヤー程度の金属が入れ歯の中に組み込まれるだけなので、あまり意味がないです。このような方には状況を根気よく説明し、生体親和性が高いチタンで金属床の入れ歯を製作しました。チタンは他の金属に比べて硬く軽いためすごく喜ばれました。その後、入れ歯が割れることもなく1年経った今も快適に使用していただいています。

逆に保険の入れ歯だとクラスプという金属のバネが欠損の関係上、前歯にかけなければならないケースがあります。前歯だといかにも入れ歯というのが解ることが往々にしてあります。ノンクラスプデンチャーという金属を使わないで審美的に見せることができるものもあります。一見、保健の入れ歯の色に似ていて、単純にクラスプを外しただけのように見えますが、実際は違います。ピンク色の床といわれる部位は保険のものと比べて柔らかく弾力があります。
また、歯間部にその歯肉色したものが入り込み、クラスプに代わって維持を図るわけです。審美的にかなり満足いただけるのではないかと思いますよ。
(写真はノンクラスプデンチャーです)


被せ物の脱離について



被せ物が脱離するのには、何か原因があると思います。一般的に考えられるのは不適合や二次カリエス等ですが、実は咬合関係も大きな要素です。特に夜間就寝時の歯ぎしりは、かなりこの被せ物に脱離の作用が働きます。もともと被せ物はセメントなどで合着していますが、側方力が働くとセメント層も破壊していきます。そうなると、脱離することがあるわけです。
ただ歯ぎしりは就寝時に無意識に行われているので患者さんには全く自覚がありません。従って、明らかに咬耗があってエナメル質部分が全体的に摩耗していても本人はその原因が解らないのです。

虫歯があるわけではなく何度も再製して被せ物を入れても早い時期に脱離してくる方は、是非一度歯ぎしりを疑い、同居している方に尋ねてみてください。歯ぎしりや食いしばりをしている可能性は高いと思いますよ。そのようなことが認められたら歯医者さんに相談し、マウスピース(ナイトガード)を作って装着して寝てもらうとかなり予防できるかと思います。


10年以上付き合いのある患者さんのこと



当院は今年で4年目の比較的新しい歯科医院です。(居抜きで開業したので建物は古いですが)この新潟駅近くに開業する前は、亀田という所で勤務医を4年しており、その前は佐渡島の病院歯科に3年間勤務していました。(その前には大学病院に10年間勤務してました)
ここは今まで勤務してきたところと比べると若い患者さんが多いですね。やはり会社員、OL、学生の方が多いですかね。それこそ、亀田や佐渡は年配の人が7割以上占めていたのですが、今は逆に20代から50代の人が7割ぐらいです。

もともと僕は学生時代に入れ歯治療に興味を持ち、歯科医師になって総入れ歯講座の大学院に進学し、博士号を取得しました。大学病院を辞めて佐渡に行ったときは大好きな入れ歯治療がたくさんあって、すごく楽しくやりがいを感じていました。新潟の亀田に勤務医をした時も、年配の方が多く来て治療を受けてくれました。

しかしながら、この駅近くは若い人が多く、入れ歯の患者さんよりも虫歯治療、歯周病治療などがメインになりますね。
でも、この駅近くに開業しても大学病院時代から僕が診ていて亀田、佐渡にまで患者さんとして足を運んでくれる患者さんがいます。その方は上顎が総入れ歯、下顎が部分入れ歯で、新しい入れ歯をセットした時はもの凄く喜んでくれました。そして半年に1回の定期健診には必ず来てくれました。僕の勤務先が変わっても必ず。。。本当に嬉しい限りです。歯科医師冥利に尽きます。
でも、1年ほど前から来られなくなり、どうしたかなと思っていた矢先に電話がきました。何とこの1年ほど肺を患い、入退院を繰り返している状態で来れなかったようです。入れ歯を診てほしいけど、歩くことが困難なので往診していただけないかとの相談でした。

当院は歩いて行ける距離(半径1kmくらい)の往診はやりますが、その方の家は片道10kmほどあります。でも僕は2つ返事で行きますと答えました。今まで僕に診てほしいといって佐渡や亀田にも来てくれた方ですものね。僕を本当に信頼してくれた方です。頑張って治療させていただきます。


9番目の歯?



先日、親知らずのさらに奥の歯を抜歯しました。過剰歯だと思うのですが、親知らずの抜歯の際に患者さんの同意を得て抜歯しました。歯科医師になって21年間、今まで多くの歯を抜いてきましたが、いわゆる9番目の歯を抜歯したのは初めてだったので、記念に患者さんからこの歯を貰いました。小さいながら歯根がはっきりしていて組織学的には問題ない歯ですね。

聞いた話では、仏教では9番目の歯は神聖なものと扱われていて、仏陀には9番目の歯があったとされているようです。きっと、この方も神聖な方なのですね。。。
(向かって左が親知らずの歯です。右がその奥にあった9番目の歯です) 



 

当院での口臭治療について



口臭の原因は、虫歯の発するガスや歯周病における膿であることは多々ありますが、それだけではないです。口腔内には常在菌といわれる菌が多数います。その中には善玉菌がいれば悪玉菌もいますが、それらの菌は生物であるため排せつ物を出します。細菌が出すおならによるものも考えられます。(ここではわかりやすく、おならと言っておきます)

それを抑える口臭予防用の歯磨剤や洗口剤がありますので、さらに効果が上がりますよ。(当院ではハイ・ザックの歯磨剤、デンタルリンス、スプレーをお勧めしています)

また、常在菌が多数存在するのが舌の表面です。従って舌用ブラシで磨くことをお勧めしています。舌専用のブラシです。特に歯磨剤等は付ける必要はないです。注意点は、真っ赤になるまでやる必要はありませんよ。是非お試しください。(写真右端が当院で使用している舌ブラシです)


総入れ歯の難症例



総入れ歯の難症例で一番多く見られるのは、入れ歯が乗る歯茎の部分が痩せてしまっていることです。総入れ歯の場合1本も歯がないので維持は粘膜に求めるしかないですが、その歯茎が痩せてしまうとかなり厳しい状況になります。これはどの方でもあることですが、歯を失うと歯槽骨は吸収されていきます。特に早い時期に歯を失うと、歯根を取り巻くその歯槽骨は吸収が大きいですね。吸収された歯槽骨を元に戻すことは、現状では不可能です。

従って、私たち歯科医師はそのためにしっかり型を取り、咬み合わせを決めて歯を並べて製作します。でも、努力して何とか吸着を得ることができても、そのような方は側方力がかかると安定感が弱く、痛みが出やすいです。そのための調整は食べてみて確かめる必要がありますので、何回かの調整はどうしても必要になるかと思いますね。
(写真は上顎に総入れ歯、下顎に部分入れ歯を装着した状態です。上顎は歯茎の吸収が大きい状態でした)


インレーブリッジについて



1本だけの欠損で入れ歯を入れることはまずありません。保険診療内だとブリッジがファーストチョイスになるかと思います。ブリッジの利点は、歯牙に固定するので取り外すわずらわしさがなく、咬んだ感触は天然歯に割と近いです。欠点は清掃するのがなかなか難しく、歯間ブラシやフロスでの清掃は必須になりますね。

また、どうしても欠損部の両隣を削らなければならないので、その歯が歯髄といわれる神経のある生活歯の場合、しみやすくなる欠点があります。できるだけしみないように最小限の切削量にするためにインレーブリッジを選択することがあります。切削量が少ないため、しみるリスクは格段に減ります。また、咬合関係もインレーにすると歯を大きく削ることがないのであまり大きな調整がいりませんしね。でも、清掃する難しさには変化がありませんが。。。


入れ歯のお手入れについて



入れ歯は、ブリッジやインプラントに比べて衛生面で分があります。なぜなら、取り外して汚れを直視し、重点的に掃除ができるからです。でも、入れ歯を掃除する際は注意が必要です。まず、入れ歯専用のブラシを使用していただきたいです。歯ブラシで歯磨き粉をつけてブラッシングするのは良くないです。なぜなら、入れ歯の人工歯は天然歯より弱く柔らかいので、歯ブラシで天然歯と同じ要領で力をかけると摩耗してしまいます。歯磨き粉には研磨剤が入っているものが多く、悪影響を及ぼします。

また、夜間は基本的に入れ歯を外して就寝されるかと思います。その際に入れ歯の洗浄剤を使用していただくといいと思います。残存した天然歯がある方は、その歯の口腔内でのブラッシングも頑張っていただきたいですね。


総入れ歯の精密印象のための個人トレー



今日は日曜日でお休みですが、僕は週明けに上顎に総入れ歯、下顎に部分入れ歯の精密印象を取る患者さんが入っているため、医院に来てそのための個人トレーというものを製作しています。
個人トレーは、既成のトレーで研究用模型を作り、その上で製作します。言わば、その人に合ったカスタムトレーですね。これを使用すると、細かい部分や、筋圧形成という口腔周囲の筋肉の機能時の型を取ることが可能になります。(筋圧形成とは主にコンパウンドを使用して患者さんに口を動かしてもらって型を取ることです)

僕は部分入れ歯でも個人トレーを作っています。でき上がる入れ歯の吸着度は格段にアップしますね。作り方はそれほど難しくなく、材料さえあれば割と簡単にできます。でも、厚みや縁が長くなりすぎないようにしたり、バネがどの位置にかかるかなどを注意しています。このあたりは技工士さんになかなか伝えにくいことがあるので僕は自分で作るようにしています。
しかしながら、最近はこれをほぼ毎週日曜日にまとめて作っているので、休みを取ることがなかなかできなくてちょっと大変です。。。

入れ歯治療の心構え



入れ歯治療に対してどこの歯科医院も同じですが、誰一人としていい加減な気持ちでやっている先生はいないと思います。でも、歯科の分野はあまりにも多岐にわたります。虫歯治療や根管治療、歯周病治療があれば、抜歯操作もありますね。欧米諸国ではそのような分野に専門医がいて、一般歯科医と区別されているようですね。
もしこのような制度があれば、僕は間違いなく入れ歯の専門医を目指したいです。(日本にも学会で専門医を出しておりますが、標榜できるのは歯科、矯正歯科、小児歯科、口腔外科のみですかね)そのくらい僕は入れ歯治療に思い入れがあります。でも、現在の保険診療をメインで行っているとなると、それでは生活が成り立たないのが現実ですが。。。

僕は一生懸命患者さんに入れ歯を提供しているつもりですが、時には一生懸命作った入れ歯が合わなくて痛いこともあるでしょう。それを機に入れ歯の使用をやめてしまう方はまれにいます。でも、それでは何の解決にもなりません。歯を失った以上、元の歯のようにはなりません。歯があった時と同じように入れ歯で発音も食事もできるというのは、やはり現実には不可能に近いと思われます。慣れも絶対に必要ですし。口腔周囲の筋肉がなじむまでは時間が必要です。そのあたりはインプラントやブリッジの方が分がありますが、それで対応するにも難しいことなのです。患者さんに十分ご理解いただき、妥協点を見出していくのは必要なことだと思います。一緒に治療に当たって問題解決に励んでいきたいと思います。