りんご歯科医院ブログ

院長ブログ

新潟市の歯医者・歯科・入れ歯・スポーツマウスガードなら「りんご歯科医院」

総入れ歯の咬み合わせについて



総入れ歯を製作する際に、もともとの歯があった時の咬合関係を付与するわけではありません。総入れ歯の場合は、両側性平衡咬合という奥歯で咬んだときは臼歯部のみでしっかり咬め、前方・左右の歯ぎしりをした時に全歯が接触して動く咬み合わせの関係を作ることが必要です。そうすることで柔らかい粘膜の上に乗っている総入れ歯でも外れずに機能してくれるわけです。(もちろん部分入れ歯と比較すると限界はありますが。。。)

もともとの天然歯の歯列でこういう咬合関係を持っている人は少なく、このような咬合関係に持っていくことはほとんどありません。この総入れ歯や総入れ歯に近い部分入れ歯のための両側性平衡咬合を付与するのは本当に難しく、製作過程の中で咬み合わせ取りといわれる患者さんの上下的・水平的な咬合関係の採得から慎重にやらなければなりませんし、人工歯の排列やその際に使用する咬合器も大事な要素なんですね。だから、僕ら歯科医師はこのステップを慎重に行っています。


歯のホームホワイトニングについて



最近、歯のホワイトニングについて相談を受けることがあります。患者さんは会社員やOLの方が多いので依頼も結構あります。当院では、歯科医院内でやるオフィスホワイトニングはしておりませんので、お家で行うホームホワイトニングになりますね。

当院でやるホームホワイトニングの方法は以下の通りです。
1回目:診査・歯石取り
2回目:検査・歯の表面をクリーニング
3回目:口腔内写真取り。色の確認、トレー製作のための型取り
4回目:トレーの適合を確認、薬剤をお渡しして使用方法の説明
5回目:2~4週間ほど使用してもらい、白くなっているか色の確認

流れは上記に示した通りですが、虫歯があったり、充填物に問題があればそこから治すことがあります。
また、ホワイトニングした歯は経年的に色が後戻りするので、定期検査に来ていただくようにお話させていただいています。
(写真は当院で使っているホワイトニング用のキットです。GC社製のものです。この箱の中にトレー製作用のシートとホワイトニングの薬剤が入っています)


3月11日に思うこと



いつもは診療の内容について書いていますが、今日は3月11日ということでちょっと違った主旨でこのブログを書いています。
4年前の今日、もの凄い大きな揺れを午後2時46分頃感じましたね。その時、僕はある開業医さんの所で勤務医をしていました。新潟は震度4程度と聞いてましたが、すごく長い時間揺れていたような気がしました。その時はレントゲン室で患者さんの撮影をしていて、レントゲンの機械が壊れたかなと思いました。診察していた高齢の患者さんもビックリしていて、落ち着くように言って聞かせてました。しばらくして患者さんの来院が途絶え、休憩室でテレビをつけてみるとあの大津波。津波にのみこまれていく家、車、人。。。これは映画なのかなと我が目を疑いましたね。あの一瞬の出来事が、人の人生や生活をがらりと変えるんだなとその時初めて思いました。

その頃、僕は開業するべきかどうか悩んでいました。震災の1月前程にある業者から居抜きの物件があることを知り、そこに開業しようかなと考えていましたが、当時お世話になっていた歯科医院さんにも愛着があり、なかなか決めることができませんでした。結局、僕の決断が遅いためにその物件は話がなくなりました。もやもやした気持ちでいたところにこの地震。。。

なんか人の人生って、何時どうなるのか本当にわからないんだな。それならば、やりたいと思うことをやれるうちにやるのが必要なのではないだろうかと真剣に思いました。そして、新たな物件を探して、この地に開業をしたわけです。この日が来て、あの地震の時から4年経ちました。当院も開業して4年目です。夢というか、やりたいことをやれている自分は幸せなんだということを改めて噛みしめる一日にしたいです。
(写真は当院の外観です。古いビルの2階ですが、これからも頑張っていきたいです)


乳歯の虫歯治療



乳歯の虫歯治療も、基本的には永久歯と変わりません。しかしながら、子供の場合はなかなかこちらの言うことを理解してくれないことがあるため、思うように進まないことがあります。でも、無理強いして虫歯を取っても子供たちに嫌な思いしか残らないと、それこそ歯医者さん嫌いになってしまうので、当院では子供の患者さんに言って聞かせる努力を最大限しております。

また、極力痛みを与えないようスプーンエキスカベータという手動で虫歯を取る器具を使っております。エンジン音や水流がなく、麻酔をかけなくてもある程度深い虫歯でも対応できるかと思います。
(写真はスプーンエキスカベータを使用して乳歯の虫歯を取っているところです。スマホで写真を撮ったので見にくくてすいません)


咬み合わせの不調和による全身的な影響



咬み合わせの不調和が顔や首、全身に及ぼす影響はありますね。頭頸部領域には多くの筋肉が付着します。咬合位が左右・前方に偏位することで顔面筋、咀嚼筋、頭頸部領域の筋の異常な緊張も認められるようになります。そのために、首周りの筋肉の張りや肩凝りもあります。咬み合わせが狂うことで頭位の傾斜が見られると姿勢が崩れて、僧帽筋など頸部領域の筋が緊張し背中や肩に影響があるようです。

以前はこの咬み合わせの狂いを咬合調整といって、歯のエナメル質部分を削って調整することが一般的でしたが、歯を削ると咬合高径の低下や知覚過敏などを引き起こすことがあるため、現在はできるだけ削らない方法で調整しています。

そのためには、矯正処置やマウスピースが必要になるかと思います。でも、矯正処置では時間がかかり、即効性がないためマウスピースによる咬合の安定化を図るのが一般的だと思います。そのマウスピースの使い方にも注意が必要ですね。歯科医師の指示に従って調整と指導を受けていただきたいと思います。
(写真は咬み合わせ調整用のマウスピースです。2mm厚の硬い透明なシートを使用して製作しております)


用途によるマウスピースの違い

最近、マウスピースをいろいろな場面で聞くことが多くなりました。それぞれ用途により製作方法や使用する製品、でき上がったマウスピースの大きさや厚みが違います。顎関節症の治療や歯ぎしり防止用は硬い素材が多く用いられていますし、スポーツ用やホームホワイトニングに使用するものは柔らかい素材で作るのが一般的です。

先日来られた患者さんが、スポーツ用と夜間の歯ぎしり防止用のマウスピースの製作を希望されました。下の写真はその方のマウスピース製作の作業模型ですが、どちらがスポーツマウスガード用でどちらが歯ぎしり予防用のものか解りますか?



答えは向かって左が歯ぎしり防止用で右がスポーツ用です。同じ患者さんのものなので歯型は一緒ですが、歯ぎしり防止用は歯と若干の歯肉部分しか型が取れておりませんよね。でもスポーツ用は歯肉から頬粘膜にかかる深い所まで型が取れています。歯ぎしり防止用は主に歯牙にかかる歯ぎしりによる力を分散させるためなので、歯列だけ型が取れていればいいわけです。それ以上延ばして歯肉に充てる必要はないですから。

でも、スポーツ用はスポーツ時の外力による口腔内の保護が目的であるため、歯牙のみならず歯肉などの損傷も防止する目的があるので、歯肉頬移行部といわれる深い所まで型を取り、そこまで伸ばすのが鉄則です。

これから、硬いシートを使用して歯ぎしり防止用のマウスピース、そして弾力のある柔らかいシートを使ってスポーツ用のマウスピースを作ります。上記に示した部位まで各々の必要な長さに調整していく予定です。
このように、用途や目的によって作り方、素材、厚みなどが違うものになることをご理解いただけたらなと思います。


総入れ歯の審美性について



総入れ歯の審美性の適否は、一般的な考えから上下顎の前歯の人工歯の色と大きさ、歯の並びによって決まると思います。
仮合わせの際に並びを患者さんによく見ていただき、患者さんの思いをよく聞いて決めていくのが当院のスタイルです。でも、明らかに歯を並べる基準を逸脱する要求には答えられないことがあります。このあたりには、ちょっともどかしさがあるのは事実ですね。

咬み合わせの高さが適正であれば、あとは笑った時の歯の見え方が大事ですよね。一つの基準としては、笑った時に歯頸部がちょっと見えるかどうかにするのがコツですね。このあたりを注意していくと、おのずと歯の大きさは決まります。
(旧義歯を入れた状態で笑ってもらった写真です。歯の見え方は問題ないですが、上下顎前歯の正中が鼻尖の直下にないので患者さんはそれを気にされていて、今後入れ歯を新製していきます)


入れ歯の修理について

 



入れ歯をつい誤って落としてしまって破損させたり、長年使用していることで人工歯部分が擦れて咬み合わせが下がってしまった等使用するのに不調和が起きた場合は、入れ歯の修理が必要になると思います。入れ歯のバネ部分が金属を鋳造したものでできているものが破損していて、それを即日で直すのは難しいですが、それに代わるワイヤーのバネをつけることは、可能かと思います。
人工歯が脱離してしまったり、単純に入れ歯が割れている場合の修理はそれほど難しくないと思いますので、お悩みの方は歯科医院に行って相談された方がいいかと思いますよ。でも、修理の材料は色は似ていてもどうしても異種材料ですので、再度そこから壊れていく可能性は高いです。ですから、新製するのもやむを得ないかもしれませんが。。。

(写真は昨日胎内市から来られた患者さんで、使用中の入れ歯が無口蓋義歯で全く吸着が得られませんので、臼歯部の咬合面をレジンで盛り足して適切な高さを得て調整を行い、無口蓋部分にパラフィンワックスで壁部分を作り内面にレジンを流し、口腔内に圧接して床部分を延長しました。床内面には一層だけ粘膜調整剤を敷いて、吸着を得ることができました。時間は少しかかりましたが、1回の処置でここまで終えることができましたよ。でも、審美的には問題がありますので、今後は入れ歯を新製していく予定です)

抜歯について



最近は親知らず以外の抜歯はあまりなくなりました。でも、全くないわけではないです。歯周病があまりにも重度であったり、虫歯がひどく大きく根尖に大きな病巣を抱えている場合や、歯根破折といって歯の根が割れていたり、ヒビが入っている場合は抜歯の適応となるケースがあります。

いつも抜歯する前に、もう少し前に診せてもらえたらこうならなかったのではないかと反省の意味も含めて思います。
抜歯操作はもちろん局所麻酔下でやりますが、重度の歯周炎でかなりグラついているものは簡単に抜けます。でも、酷い虫歯で歯の頭がほとんどなく、へーベルという器具がうまくかからないようなものは結構大変です。

なぜなら、そのへーベルというものを歯と骨の境目にかけてテコの原理で抜くのが基本ですが、虫歯が酷くちょっとの応力をかけただけでもぺきぺき割れてしまい、テコの原理がうまく使えない場合があります。そうなると歯と歯肉の境目を狙って削り、その力をかけても割れない部分から作らなければなりませんらね。また、2本脚の根だったり、3本脚の根の場合は分割しなければならないかもしれません。そのため、この抜歯操作にはかなり気を使って行う処置となりますよ。
(写真は本日来られた患者さんの右側の上顎第一小臼歯と左側の下顎第三大臼歯です。重度の歯周炎のため抜歯となりました)


自分の歯の大事なこと



私は、入れ歯の人の気持ちを理解したいなと思い、上顎右側の第一大臼歯を10年ほど前に一本抜歯しました。私は入れ歯治療に自信があったため、自分で一本欠損のための入れ歯を作りました。いざ入れた後ご飯を食べてみると、米や野菜、肉などの食材は全く問題なく食べることができました。でも、ゴマやせんべいのカスなどが入れ歯の床下に入りそのまま食べていると、粘膜が痛くなってきたのを覚えています。これではやっぱりよくないなと思い、ブリッジを試してみました。前後の歯は生活歯であったため、形成し印象してブリッジをセットしましたが知覚過敏が発生ししみがひどくなりました。また、歯磨きがかなりしにくくなりブリッジの土台に虫歯ができてしまいました。何とかわずかな治療でその時は済みましたが。。。今現在はそのブリッジが入っています。知覚過敏にもまだ少し苦しめられています。

このような経験を基にお話しますが、自分の歯に勝るものはやはりないと思います。自分の歯を長く健康な状態で維持するために歯科医院での定期検診には、是非行っていただきたいと思います。
(写真は部分入れ歯を装着している人の定期検診中のものです。この方もやはり自分の歯をこれ以上なくしたくないと言っていましたよ)