りんご歯科医院ブログ

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総入れ歯の人工歯配列について





新しい総入れ歯を製作するためには、人工の歯を並べる操作があります。そこに至るまでの過程で型取り、咬み合わせの位置、咬み合わせの高さは採得されているので、ここまでの得た情報の中で人工の歯を排列していきます。人工歯の形態や色もその人の性別、年齢、個性に合わせて患者さんと決めさせていただき、その人工歯を使って歯を並べていきます。前歯部は主に審美性が強調されるところですので、特に気を遣います。臼歯部はよく咬めるのが第一ですので機能性が重要視されます。

この操作は、技工室で主に技工士がやる作業ですが、私は大学病院勤務時代は常にこれもしていましたよ。だから、技工士さんへの注文は結構多くて嫌がられているかと思います。。。


総入れ歯の苦手な食材について



新しい総入れ歯をセットした際に、これで何でも食べられると錯覚される方は多いと思います。もちろん、中には何の問題もなく食べられる方は多くいますが、顎の骨がかなり痩せている方は注意が必要ですね。そのような人は、食材による圧力が加わると入れ歯を支える歯茎にも力が加わり痛みを起こしやすいです。

では、どのような食材が不向きかというとフランスパンやちょっと硬い厚い肉などは咬むときにかなり圧力が加わるのでできれば止めてほしいです。でも、どうしても食べたいという要望がある方は、パンなどはミルクやシチューなどに浸けてふやかしたり、肉は細かく刻んでから食べてもらう等の工夫が必要かと思います。

また、ゴマなどは入れ歯と粘膜の間に入り込みやすく、入ったままの状態で食べているとどうしても痛みを伴いやすいです。わずらわしいと思いますが、入ったら流水下で流す習慣はどうしても必要かと思います。


総入れ歯の使用法と管理について



総入れ歯をセットした後には、必ず使用方法と管理方法について説明しています。
まず、装着と取り外しが自分でできるかどうかを確認し、入れ歯が入ってもすぐに何でもかんでも食べられるわけではないと言っております。もちろん中には、まったく問題なく何でも食べられる人はいますが、顎の骨が痩せてしまっている人はそれだけ入れ歯が動きやすく、安定感に不安な人がいるのは確かです。従って最初は柔らかいものを食べてくださいと伝えています。慣れてきたら徐々に固いものにチャレンジしてもらうように言っております。

また、口腔周囲の筋肉が新しい入れ歯になじむまでは多少時間がかかります。そのせいで、頬粘膜を咬んでしまうことがあるので、ゆっくり食べてくださいと伝えております。上下顎の人工の歯の並びと咬み合わせの高さが適正であれば、1週間程でこの不調和はなくなるケースが多いと思います。

就寝時は、基本的に入れ歯を外して寝てもらうように伝えています。(部分入れ歯の場合は歯ぎしりの関係で、残存歯に負担をかけないために洗浄後装着して寝てもらうことがありますが、基本的には外して寝てもらいます)寝る前には入れ歯を入れ歯専用のブラシを使って磨いてもらい入れ歯洗浄剤の使用を勧めています。なかには入れ歯を外さず自分の歯があった時と同じように歯磨き粉をつけて歯ブラシで磨いている人がいますが、やめてもらうように指示しています。このように使用すると、入れ歯と入れ歯を支えている粘膜の間は磨けないために細菌が入り込み、義歯性口内炎といわれる粘膜が真っ赤になってただれてしまうことがあるため、注意が必要です。寝ているときは、日中入れ歯が乗っている粘膜を清潔にして休ませてあげましょうね。

僕たちは、患者さんのために一生懸命入れ歯を作っています。適切に使用してもらえたら嬉しく思います。


総入れ歯の咬み合わせの調整について



昨日のブログにも書いた通り、総入れ歯の不具合で一番影響している可能性が高いのは咬み合わせです。入れ歯が外れやすいのも実は型取りが悪いのではなく、ちょっとした咬み合わせのずれが、そうさせている場合があります。ですから、私は最初に咬み合わせを診ます。咬み合わせを見るのにもいきなり咬合紙を入れることはしません。まず、咬合音をよく聞きます。聞いてみるとカクカクしているケースが案外多いです。そして、両手の人差し指を入れて左右のどちらが高いかを確認します。そして、右か左かどちらか高いのが判明したら初めて咬合紙を入れて、どの部位が当たりが強いのかを見て歯の部分を削除調整していきます。ここでは触れませんが、削る際にもちょっとしたコツがいるんですね。
そして、咬合のバランスが整うと結構外れないようになるケースは多いと思いますよ。


総入れ歯の痛みについて



もう20年ほど前になりますが、総入れ歯の科に大学院生でいたとき、入れ歯の調整でかなり困ったことがありました。下顎の入れ歯がいつも痛いと言ってくる人がいました。診てみると、入れ歯の縁に当たりがあるようで傷になっていました。僕は入れ歯の辺縁が長くて当たるんだろうなと思い、その部位を一生懸命に削除し、当たりを弱めて傷の部位に薬を塗って処置を終えました。ところが、その傷は治らずに次の日も痛いと来院されてきました。

ほとほと僕も困り果てて教授に診ていただいたところ、教授は入れ歯を下顎のみ入れて両手で第一大臼歯部を垂直方向に押していました。僕は内心、そんなことをしたら痛くなると思ったら、患者さんは全く痛がる様子はないのです。そしたら教授は「これは咬合に問題があるよ」と言って、上下顎の総入れ歯を入れて、まず奥歯で咬ませて音を聞いていました。その時はカクカクいう音でした。教授は「まず、この音を覚えとけ」と言い、上下顎の入れ歯の咬み合わせの面に咬合紙を入れて調整を始めました。そして、咬合調整が終わった入れ歯を口腔内に入れて、その咬合音を聞いてみるとカンカンという高い音でした。教授は一言「な、違うだろう」僕は何で違うんですかと尋ねると、「それは自分で考えろ」と言って去っていきました。

患者さんはそれから全く痛みもなく、よく食べられると言ってくださり定期健診の時も全く大丈夫と言ってくれました。

もともと職人気質の教授で、あれこれ教えてくれる人ではなく患者さんを前にして技術的なことを教わったのはこれが最初で最後でしたが、今でもこの経験は自分にとって入れ歯の調整において最重要視しています。

カクカク音とカンカン音の違いは、カクカクの場合は咬むときに一回当たってずれるとちょっと濁った音になります。カンカンと高い音は左右上下の歯が一点でしっかり咬んでいると澄んだ音になるのです。教授はこのことを教えたかったのだなと、勉強してわかりました。
今ではこの経験をさせてくれた患者さんと教授に感謝しております。


国民の医療費について、思うこと



国民の総医療費は年々増加していますね。しかしながら、歯科が全体的な医療費に及ぼす医療費はこの10年間ほど変わりがないようです。全体の10%未満です。言うなれば歯科は全く上がらずに、他の科の医療費が上がっているということですよね。日本は超高齢化社会ですので内科や整形外科等にかかる率は必然的に上がるのは仕方ないといえば仕方がないのでしょうね。でも、このままだと社会保険の維持は難しいでしょう。何かいい策はないものでしょうかね。。。

一個人の意見で申し訳ないですが、トヨタ関連部品健康保険組合と豊田加茂歯科医師会の共同調査で「定期的に歯科を受診している人は全ての病気にかかる年間の総医療費が低くなる傾向がある」ようです。このあたりをもっと深く調査して、本当にそうならば歯科の定期健診が国民の総医療費を下げる可能性がありますよね。それを叶える鍵は歯科がもしかして握っているのかなぁと思います。

言われてみれば、僕たちは食にも深く関わっています。人間は基本的に口から栄養を取るのですから、ここがしっかりしていなければ、やはり全身に影響が出るのは当たり前かもしれませんね。是非、今一度お口の中の点検をお勧めいたします。実は歯科に定期的に受診することが、皆様のお財布にも優しいことなのかもしれませんね。


虫歯の治療について



日々の診療の中で一番多い処置は、やはり虫歯治療かと思います。虫歯も痛みを抱えて患者さんが自覚して治療に入ることがあれば、定期健診で来られて見つかることもあります。その場合は小さい虫歯のため本人も気づいていないので、一方的に削ることはせず患者さんに鏡やレントゲンなりを見せて、処置に入るように努めています。いきなり削られたら誰だって嫌な気持ちになりますものね。

そして、虫歯の除去後はコンポジットレジンといわれるプラスチックで虫歯になる前の形に復元します。人によって歯の色は違いますので、それに合わせて色の種類を選択して詰めますが、中にはどうしても合わないこともあるので、色を何種類か混ぜてよりその人の歯の色に合わせることもあります。そして、その後は咬み合わせを修正し、研磨をしてでき上がりです。

この操作を適切にやらないと、色も形も悪く、すぐ脱離してしまう原因になるのでかなり慎重に行っています。




歯の保存と抜歯について



最近では、親知らず以外で抜歯してほしいという依頼は少なくなったなと思います。当然といえば当然ですね。しかしながら患者さんが希望する、しないに関わらず抜歯しなければ治療が前に進まない場合や、抜歯してブリッジや入れ歯にしてあげた方が、その人にとってメリットがあるなと思うケースは少なからずあります。

例を挙げると、重度の歯周炎で歯がプラプラ動いて何とか歯肉に引っかかっている場合や、虫歯が進行して健康な歯質がほとんど残っていない場合は、正直いって「保存が無理です」と患者さんにお伝えしております。最近の風潮としては歯を保存するのがいい歯医者さんの条件のように言われているみたいですが、私はそうは思いません。残してもすぐに痛みが出るのが明らかならば、早目に抜歯してブリッジや入れ歯を入れて、咬合や審美性を回復するようにしてあげるのも、歯科医師の役目かと思います。もちろん、そのための説明と同意は絶対に必要ですけどね。


総入れ歯の咬み合わせの高さについて



新しい総入れ歯を作る際に精密な型取りの後、咬み合わせを決める作業をします。総入れ歯の場合は、参考、基準となる歯が全くないのでこれを決める作業は結構大変です。方法としては、咬合床という咬み合わせを作ってそれを使い、解剖学的なランドマークを基準にしたり、顔面を計測したり生理学的なものを利用して決めていきます。

口で言うと簡単に思いますが、かなり難しく注意が必要なところです。なぜなら高さが低いと唇が下がって見えて、への字口になったり、皺が寄りやすくなります。審美的に良くないのですね。極端な例を挙げると、昔クシャおじさんといって顔が皺くちゃになって潰れるような物を芸としてテレビに出ていた人がいましたよね。極端にいえばあんな感じですね。顎関節にも障害が出ることがありますよ。また、高すぎると口の中がいっぱいになった感じがして違和感が大きく、皺は伸びてもツッパリ感がいつまでも取れない状態になります。従って、適正な高さを決めるのは非常に大事な作業なんですね。

私は、総入れ歯を治療し始めて21年目ですが、ここはまだ苦手なところです。咬合床で採得した高さで、人工の歯を並べてみるとなんか高いなぁと思うことがままあります。でも、そうなっても試適の時に直せる状態にしておけば患者さんにそれほど負担はかかりませんしこちらも確認が容易です。だから、入れ歯の試適の時はかなり時間をかけて歯の色、形、並び、咬み合わせ、見た目等、いろいろチェックさせてもらっていますよ。


日曜日だけど、歯科技工物の製作



本日は日曜日で私の医院はお休みです。しかしながら、日曜日でも私は頻繁に医院に来ます。なぜなら外注しない技工物の製作をしたり、医院内の掃除をしたりしています。もちろん、私が技工物でできるのは個人トレーという精密印象を取るためのトレーや、咬合床という入れ歯の咬み合わせを取るためのものだったり、スポーツマウスガードや歯ぎしり予防のためのマウスピースくらいですが。。。もちろんこれらも、外注しようと思えばできるのですが料金もそれなりにかかってしまいますし、保険診療だと割に合いません。

また、技工士さんに製作する上でのポイントを口で伝えにくい部分もあるので自分で作っています。私は大学院や大学病院に勤めていたときは補綴科(入れ歯や被せ物を専門とする科です)という所に所属していましたので、ほぼ毎日作ってましたし、急ぎの患者さんの場合は自分だけで型取りから完成・セットまでやっていましたからね。だから、これらを作ることに苦は感じません。今も設備さえ整えば外注しないで総入れ歯は作れると思っています。でも、この設備を整えるのが高額だし、それをやる時間も平日はないのですよね。。。

でも、今日は娘の誕生会に夕方から参加しますので早く帰らなきゃ。では、皆さん良い日曜日をお過ごしください。