2019/05/30
新潟駅から徒歩5分 「入れ歯専門外来」を持つりんご歯科医院から発信。
総入れ歯製作の治療手順は型を取って終わりではありません。
たま~に、型を取って次でセットと思われて来る患者さんがいますが、それは違います。
段取りとしては、以下の通りです。
1.診査・前処置(前処置とは、古い入れ歯の調整やぶよぶよした粘膜への対応など。)研究用模型製作のための一回目の型取り。(この型取りで模型を製作し、カスタムメイドの型取り用のトレーを製作します。)
2.カスタムメイドのトレーを使用して、精密な型取りをします。(この型取りで得た模型を作業模型とし、咬合床という咬み合わせを決めるための装置を製作します。)
3.咬合平面と言われる上の歯を並べる際の基準を決めてその後、咬合床を使用して咬み合わせの高さを決めます。そして、フェイスボウという装置を使って、咬合器という装置に模型を装着する準備をします。(得られたフェイスボウの情報を咬合器に移行し、上顎の模型を装着いたします。そして、咬み合わせの高さをそのままに咬合器と言われる装置に下顎の模型も装着します。そして、ゴシックアーチトレーサーというものを製作します。)
4.高さが前回の処置で決まっていますので、今度はゴシックアーチトレーサーを使用して水平的に良い位置を設定します。(得られた水平的に良い位置を、咬合器上の模型にも反映いたします。そして、人工の歯を並べます。また、歯肉の部分もピンク色のワックスで彫刻します。これで形としては、入れ歯の形になります。)
5.まだ未完成の、直しのきく入れ歯を口腔内に入れて仮合わせします。今までの段階でのエラーがないかをここでチェックします。(特に問題がなければ、ピンク色のワックスの部分をプラスチックに代える埋没・重合という技巧操作にはいります。そして、咬合器上で咬合修正と形態修正をいたします。そして研磨し完成となります。)
6.完成した入れ歯を口腔内に入れ、咬み合わせなどの細かい部分を調整いたします。(そして入れ歯の取り扱い、管理方法を説明します。)
7.一週間ほど使用していただき、痛くないか、話しにくくはないか、咬みにくくないか等を確認します。不都合があれば、調整いたします。(何事もなければ、終了となります。)
このように段階を経ていかないと良い入れ歯はできません。
すべての義歯に上記のやり方でやるわけではありませんが、総入れ歯に関しては当院では最低でも7回はかかると思ってもらった方がいいかと思います。
でも、ここまでしっかりやると患者さんの満足度はかなり高いものができると、僕は思っています。
2019/05/29
新潟駅から徒歩5分 「入れ歯専門外来」を持つりんご歯科医院から発信。
最近、自由診療で総入れ歯を製作したいという人が増えてきました。
自由診療で製作する総入れ歯は主に金属床入れ歯というものになります。
保険診療ではピンク色のプラスチックを床部分全面に置きます。
どうしてもプラスチックですので、強度は強くないですし、強度を保つために上顎であれば口蓋部分は厚くなりますし、下顎の舌側部分も厚くなります。
一応、補強線というものがレジン床の中に入りますが、それ程の強度は見込めないため、床部分が厚くなってしまいます。
金属床の場合、そこが金属になるため、強度は保証されますし、薄くできます。
そうすることによって、舌の自由度が増して発音にもいい影響が出ます。
よく見るケースで、上顎が総入れ歯で下顎の歯がほぼ残存している人がいます。
このような人は、上顎の入れ歯が正中で割れやすいものです。
それは、上顎の場合、欠損歯茎の唇頬側から骨が吸収されるため、もともと歯が並んでいたものより幅が狭くなり小さくなってしまうのですね。。。
そうなると総入れ歯を製作する際に、下顎の歯に対して正常咬合配列を施そうとすると、歯茎の一番高い部分より外れて、歯を並べなければならなくなります。
そうなると、真ん中に応力が集中してしまうため、入れ歯が正中で真っ二つに割れてしまいます。。。
これを防止するためには、人工臼歯の咬み合わせを変えて交叉咬合配列にするなどの工夫が必要になります。
でも、この金属床で、特にチタンを使用したものであれば、入れ歯そのものも軽いですし、貧弱な顎堤にも対応できます。
そして、強度もかなり強く、入れ歯が正中で割れるようなことはないと思います。
もし、そのように入れ歯がしょっちゅう壊れてしまうため、困っているという方は一度検討していただけたらいいと思います。
この金属床の入れ歯は、保険外のもので自由診療となります。
入れ歯は毎日の生活の中で、歯の代わりとして日常の咬合に関わっているわけです、
生活の質を高めるためにも、お勧めですよ。
2016/11/23
先日、初めて来られた患者さんで「歯が抜けそうで何とかしてほしい。」という依頼で来られた方がいました。見てみると残根と呼ばれる臼歯と前歯部は重度の歯周病で抜けそうなほど揺れていました。僕は、これはもう抜くしか方法がないことを説明しました。その後の処置としては、抜いた後は傷の治りを待って入れ歯を製作することを勧めましたが、その患者さんは歯がない時期が少しでもあるのが嫌だという事より、抜歯してすぐにセットする即時入れ歯というものもあることを説明し、それを希望してきました。これは、あくまで抜歯した後の傷の直り具合というのは予想して制作するため、なかなか難しい処置でありますが、患者さんの希望はできるだけかなえたいと思います。ただ、適合はあまりよくなく、どうしても粘膜と接している面が厚くなりやすいため、違和感も大きくなりがちです。なかなか最終的な入れ歯としては使いにくいため、当院では抜歯した傷が完全に治癒したら作り替えをお勧めしております。ただ抜歯した傷が治るのは個人によっても、その歯の状況によっても違いがありますが、保険診療内では即時入れ歯を入れてから半年は製作することが許されておりません。傷の治りが早い人なら、もっと早く最終的な入れ歯を作ることができるのですが。。。
もし、自由診療でやらせてもらえるならば、もっと早く適合が良く見た目も美しい最終的な入れ歯ができるのになあというジレンマに悩まされることが多いです。入れ歯は自分の歯の代用として咀嚼や発音に関与します。自由診療は確かに高額ではありますが、入れ歯は食事や会話を含めた日常の《生活の質》に関わりますよね。もっと、丈夫で歯茎にフィットしていて違和感も少なく、舌の動きもそれ程妨げないようなものを考えるならばチタンという金属床の入れ歯がお勧めです。
(写真は上顎の金属床の総入れ歯を装着したものです。口蓋部分はチタンで覆われております。保険診療で作るレジンと言われるものよりも薄くでき違和感も少なく、発音もしやすいですし、軽くて丈夫です。チタンは生体親和性も良く金属アレルギーの心配もほぼないです。上顎総入れ歯の場合、チタンが露出するところは口蓋部分のみなので、他人から見えることはありません。当院では総入れ歯の場合、片顎25万円(税抜き)で行っていますが、値段以上の価値があるものと僕は思います。)
2016/10/27
先日、総入れ歯をセットして2回目の調整に来られた高齢の患者さん、僕が「入れ歯の方はどうですか?」と尋ねると、「特に何も問題はありません。何でも食べられます。」と言ってくださいました。この言葉を聞いた時に、いつもホッとします。入れ歯は入れたその時より2回目の調整の時が、患者さんが実際に使用してみての感想を言ってくれるので、この時が一番重要ですね。咬み合わせの調整は咬み合わせを見る紙を使って見ることが一般的ですが、総入れ歯の場合、粘膜に乗っかってる状態なのでプカプカしており、なかなかその紙によってきちんと印字されない場合があり、ちゃんと咬んでいるのか、強く当たっているのかが解りにくいのですね。そのため、当院では紙を使っておおよその調整をした後、咬み合わせをすり合わせるためのペーストを使用して、様々な噛み合わせの運動をしてもらい微調整することが多いです。このような作業を繰り返し、噛み合わせが安定しているのを確認し入れ歯の内面を調整すると、ある程度、よく食べられる入れ歯ができると思いますよ。でも、この作業を徹底的にやると時間と回数がかかります。ですから、当院では入れ歯の装着時と2回目の調整時にはかなりの時間をかけていますよ。
2016/10/25